像高約99センチの等身大の坐像で、巾子冠(こじかん)を戴き腹前で笏を執る衣冠束帯の姿を呈する。重厚な体躯、眼光鋭く森厳な相好は武神に相応しい威厳に満ちている。胎内墨書銘より「八幡大菩薩」として正応元年(1288)に完成したことがわかる。応神天皇を八幡神と同体とする説は平安初期以前からあり、当社では諱である誉田別尊の呼称を用いている。八幡神像の作例は、東大寺僧形八幡神坐像に代表されるような僧形のものと異なり、本像のように完全な俗体としてあらわされる作例はあまり知られていない。造形的にも優れ制作年代も明らかなことからその存在価値は甚だ高い。