大山田神社は延喜式に載る古社であるが、ここがその鎮座地という確証はない。細長い覆屋の中に、主神大山田神を祀る本殿を挟んで、向かって右に相殿の応神天皇社本殿、左に鎮西八郎為朝社本殿が配置されている。ともに一間社流造、こけら葺の社殿である。
応神天皇社(八幡社)は、前述の八幡神社本殿と類似した特徴(向拝の木鼻の形や、蟇股の彫刻、本殿内部に作りつけの厨子がある点など)がある。ただし、梁行を二間として、前の柱間に扉を設けている点は大きく異なっている。建築年代に関する史料として桁に「ひのへとらのとしはしらたて」の墨書があり、貞享3年(1686)の修理棟札に「永正年中再興」とあるので、永正3年(1506)の造立と考えられる。
鎮西八郎為朝社本殿は、応神天皇社と同規模であるが、向拝の木鼻が具象的でない点、虹梁に渦・若葉の絵様が施されている点、蟇股の彫刻が左右非対称である点などで異なっている。また側面に扉がなく簡単な造りである。建築年代は棟札から慶安元年(1650)の再建と考えられる。